アンカリングとは、先に与えられた情報がその後の意思決定に影響する認知バイアスの一種です。
行動経済学でよく知られている認知バイアスでこの記事ではアンカリングを活用したマーケティング事例を述べます。
アンカリングを考慮に入れた施策を実施することで、消費者はより高い価格の商品に対しても納得しやすいことがあります。
マーケティング事例
以下に、アンカリングを利用したマーケティングの例をいくつか紹介します。
1.オプションの価格設定
例えば、自動車メーカーが車を販売する際に、基本仕様の車とオプションを組み合わせた車を販売する場合、オプションの価格を高く設定することで、基本仕様の車の価格が比較的安く感じられるように誘導することができます。
2.割引の価格設定
例えば、商品を1個1,000円で販売する場合、2個セットを1,800円で販売するというように、単品よりもセットの方が安くなるような価格設定をすることで、消費者は単品よりもセットの方がお得だと認識するように誘導することができます。
3.プレミアム商品の価格設定
例えば、高級腕時計メーカーが、自社の最高級品を非常に高価格で販売する場合、その他のラインナップの商品の価格が比較的安く感じられるようになります。
これらの戦略は、消費者に対して商品の価値をより高く認識させることができ、その結果、より高い価格で商品を販売することができる可能性があります。
アンカリング効果を活用したマーケティング具体例
上記の3.プレミアム商品の価格設定をゴルフ場でアンカリングを利用した価格戦略を取り入れ、売店のロストボール販売で施策を実施しました。
ロストボール販売のラインナップは以下でした。
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①以前のラインナップ
品質普通ロストボール10個入り1350円
品質低いロストボール20個入り1200円
品質普通ロストボール10個入り1100円
↓
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②新しいラインナップ
品質高いロストボール6個入り2000円
品質低いロストボール20個入り1200円
品質普通ロストボール10個入り1100円
ロストボール10個入り品質「3」を
ロストボール6個入り品質「5」と商品を変更致しました。
※品質の数字が高い程、品質が良い。5が最高
ロストボールの品質が良くても6個入りなんて少なすぎるし、高すぎる。売れるわけがないとよく言われたものです。
前年と比較して利益額は25%上昇致しました。
確かに2,000円のロストボールはそこまで売れません。
なので一見、2,000円のロストボールが高くて「無駄」に思えるものですが、2,000円のロストボールがあるおかげで顧客にとってはその他のロストボールの商品がお得に感じられ、購入が増えたと考えていいでしょう。
ゴルフ場の来場者数の増減はあまりなかったので、アンカリングの効果があったと言えます。
まとめ:顧客心理を理解して適切な価格設定を行うことで利率の改善が見込める
「無駄」に思えるものでも「必要な無駄」も存在致します。
今回「必要な無駄」のおかげで客単価も上げることができました。
アンカリング効果を活用した施策は比較的に容易に実行できると思います、アンカリング効果を活用したマーケティング施策実施してみてはいかがでしょうか。