文化の架け橋となる企業の挑戦:
多様性を活かしたビジネス戦略とは?

むちのち株式会社

留学生という独自の経験と始点からできるビジネスモデル

本記事では、若手起業家であり、明治大学在中の大神さんと、幼馴染の鴻野さんの二人が率いる企業「 むちのち株式会社」を取材しました。

お二人は、カルチャーブリッジング事業を中心に、言語翻訳、文化理解支援、映像教材の制作など多岐にわたるサービスを展開しています。

『明治ビジネスチャレンジ』最優秀賞受賞をした仕掛け人が、柔軟な働き方や、コミュニケーションを重視したチーム作りが、どのように企業の強みとなっているのか、具体的なエピソードを交えながら紹介されます。

インタビューを受けてくれた方

むちのち株式会社

「みんなが「自分」を生きられる社会をつくる」というビジョンの元に、お二人共海外に留学した経験から、具体的なビジネスモデルまで落とし込まれた企業です。

そんなお二人が務めるむちのち株式会社の、文化理解とコミュニケーションの橋渡しとなる秘訣をお伺いしました。

CEO 大神 千朋 様

大神様は、2023年に『明治ビジネスチャレンジ』最優秀賞受賞され、アメリカ留学経験があり、異文化コミュニケーションに強みを発揮しています。

COO 鴻野 莉子 様

鴻野様はイギリスへの長期留学(8年)の経験を持ち、それぞれ文化や言語の違いに深い理解を持っています。

事業の理解

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御社が現在メインに進めているカルチャーブリッジング事業について、詳しく教えていただけますか?
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はい、カルチャーブリッジング事業は私たちのビジネスの核となっています。
翻訳サービスなどで起きる「人と人の文化背景」の問題を解決するサービスです。
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言語だけでなく、その国の風土や独特の風習を理解しないと、例えば飲食店のメニューを提示しただけでは「これ、何?」といった反応が返ってきてしまいます。
だからこそ、文化的な背景を理解し、それを反映させたサービスを提供することに力を入れています。
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なるほど、人と人の文化背景ですか。
具体的にはどのようなサービスを展開されているのでしょうか?
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例えば、外国からの観光客向けに飲食店のメニューを多言語化するだけでなく、その文化に合わせたメニューの提案や、ツアーのプロデュースも行っています。また、企業向けには、異文化理解を深めるための研修プログラムや、通訳・翻訳サービスも提供しています。
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たしかに、海外で食べ慣れない食材などがメニューにあると伝える工夫が必要そうですね。
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そうです。そうです。
インバウンド向けの飲食店のメニューなど、よく相談がきます。

営業活動などどのようなことをされていますか?

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次に営業活動において、どのような課題に直面されていますか?
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現在カルチャーブリッジング事業においては、主に海外展開を目指す企業様や日本国内でインバウンド収益を上げていくことを目指す企業様などを中心に営業活動を行っています。
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他の事業では学校向けの営業活動も行っていますが、どうしても学校という特性上、前例主義やコンプライアンスの問題で難航しがちです。
そこで、現在は会社のフェーズとしても、カルチャーブリッジング事業へ特に注力すべきだと判断しています。翻訳・通訳サービスや文化理解支援を提供することで、新たな市場を開拓しています。
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なるほど。それぞれの対応や組織構成はどのような割り振りでされているのですか?
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現在、役員は私と鴻野の二人のみですが、各事業ごとにメインメンバーが数名おり、プロジェクトごとに必要な人材を業務委託として配置しています。

学生起業の強みとして、留学生コミュニティなどで実際に現地の人とパートナーシップを結ぶようなことも多いですね。
留学経験者や多言語を扱える人材とのネットワークを活用し、各事業ごとに柔軟に対応しています。

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パートナーシップにおいて困難な経験はありましたか?
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はい、金銭面を優先され、私たちのビジョンと不一致でプロジェクトを断念せざるを得なかった経験があります。しかし、内部対話を通じてビジョンを再確認し、譲れない価値観を守ることの重要性を学びました。
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ビジョン「みんなが『自分』を生きられる社会」について、具体的な取り組みを教えてください。
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このビジョンを実現するために、文化理解とコミュニケーションの橋渡しを行っています。

例えば、外国人が日本で働きやすい環境を整えるために、通訳サービスだけでなく、文化適応支援も行っています。また、地方での外国人向け飲食店のプロデュースや民泊施設の再生など、新たなビジネスモデルにも挑戦しています。

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インバウンド需要や国外への展開をするビジネスの強力な助っ人という立場なのですね。
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はい、そうです!
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現地スタッフとの連携を強化し、海外市場への具体的なアプローチを計画やサポート、調査をしています。

例えば、中国や東南アジア、ヨーロッパなど、それぞれの市場に精通したメンバーを揃え、現地のコミュニティとの繋がりを活用して市場調査を行っています。

ビジネスの場でも、新規で探し始めると地元の習慣やコミュニティなどで必要な情報が取れないことがありますが、私達は現地の習慣なども調査するので、必要なつながりを模索し、実際のやり取りのアシストをすることが可能です。

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現地スタッフとの連携が難しそうですね。
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彼らとは定期的なオンラインミーティングを行い、情報共有や課題の共有を行っています。

また、現地訪問を積極的に行い、直接コミュニケーションを取ることで、信頼関係を築いています。
さらに、会社としての想いやビジョン、それぞれの考えを共有する対話の時間をつくり、スタッフ全員が同じ方向を向いて業務に取り組めるようにしています。

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チーム作りにおいて、どのような点を重視していますか?
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私たちは多様性を重視しています。

異なるバックグラウンドやスキルを持つメンバーが集まることで、様々な視点から問題解決ができると考えています。

また、メンバー間の信頼関係を築くために、定期的なコミュニケーションを取り、互いの意見を尊重する文化を育んでいます。これにより、柔軟で創造的なチームを形成し、ビジネスの成長を支えています。

ビジョンから逸れない。それが大切

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これまでの営業活動で特に困難だった経験と、その経験から得た学びについて教えてください。
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はい、これまでにパートナーシップを結んだ企業が、私たちのビジョンよりも金銭面を優先してしまうケースがありました。

その結果、プロジェクトを断念せざるを得なくなったことがあります。

この経験から、私たちは内部対話を重視し、会社として譲れない価値観を明確にすることの重要性を学びました。
ビジョンを再確認し、それを守ることで、長期的な信頼関係を築くことができると感じています。

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なるほど。会社としての一貫性はやはり大切ですよね。
社内で対話を通じてビジョンを再確認する方法はどんなことを行っていますか?
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定期的なミーティングやワークショップを開催し、メンバー全員がビジョンを共有し、理解する機会を設けています。
また、困難な状況に直面した際には、オープンな対話を通じて問題点を洗い出し、全員で解決策を考えるようにしています。

これにより、メンバー間の信頼関係が強化され、一貫した方向性を保つことができていると考えています。

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「みんなが『自分』を生きられる社会」を具体的に実現するためのプロジェクトについて教えてください。
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現在、外国人観光客向けの飲食店メニューの多言語化プロジェクトを進めています。

ただ単に言語を訳すだけでなく、その文化に合わせたメニュー提案やサービス改善を行っています。

また、地方での外国人向け飲食店のプロデュースや、古民家を再生した民泊施設の計画もあり、地域社会と外国人観光客との交流を促進しています。
これらのプロジェクトを通じて、異文化間の理解を深め、双方にとって価値のある交流を実現しています。

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海外市場へのアプローチについて、具体的な戦略はありますか?
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はい。特に現地スタッフとの連携を強化し、現地のコミュニティとの繋がりを活用しています。
例えば、中国市場では現地に精通したメンバーを配置し、現地の文化やビジネス環境に合わせたサービス提供を行います。
また、ヨーロッパ市場では各国の文化や言語に対応できるスタッフを揃え、現地のニーズに合わせたカスタマイズサービスを展開します。

各市場での信頼を築き、持続可能なビジネス展開を目指しています。

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現地スタッフとの連携をどのように進めているのか、具体的な方法を聞いても良いでしょうか?
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現地スタッフとは定期的なオンラインミーティングを行い、情報共有や課題の共有を行っています。

また、現地訪問を積極的に行い、直接コミュニケーションを取ることで、信頼関係を築いています。
繰り返しになってしいますが、会社としての想いやビジョン、それぞれの考えを共有する対話の時間をつくり、スタッフ全員が同じ方向を向いて業務に取り組めるようにしています。

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先程のお話にもあったビジョンの共有ということですね。
ありがとうございます。
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今後のビジネスモデルの展開について、具体的な計画はありますか?
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今後は、地方での外国人向け飲食店のプロデュースや民泊施設の再生に加え、現地のニーズに合わせた新たなサービスを開発していきたいと考えています。
例えば、外国人観光客向けの文化体験プログラムや、日本企業の海外進出支援サービスなど、多岐にわたるビジネスモデルを構築し、グローバルな視点でのビジネス展開を強化していく予定です。

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地方創生という話はよく耳にしますが、一歩進んだビジョンを感じます。
地方だけで成り立つのではなく、そこに訪れる人など、地方発展をするときに取り込む人を見ている素晴らしい事業ですね。
2023年の『明治ビジネスチャレンジ』最優秀賞を取れるのも納得できます。
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そこで、ビジョンの深堀りをしたいのですが、マインドセットで事業に取り組んでいるのでしょうか?
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社名にもある「無知の知」をモットーに、常に学び続ける姿勢を持っています。

自分たちが知らないことを認識し、そこから学ぶことで、より良いサービスを提供できると考えています。
また、柔軟性を持ち、変化する市場や顧客のニーズに迅速に対応することを重視しています。 さらに、チーム内での対話を大切にし、全員がビジョンを共有し、一丸となって目標に向かって進むことを心掛けています。

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最後に、今後の目標や夢について教えてください。
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私たちの目標は、「みんなが『自分』を生きられる社会」を実現することです。

そのために、文化理解とコミュニケーションの橋渡しを行い、異文化間の交流を促進していきます。また、海外市場への展開をさらに強化し、グローバルな視点でのビジネス展開を目指しています。

今後は、地方での外国人向け飲食店のプロデュースや民泊施設の再生など、新たなビジネスモデルを構築し、海外市場への展開をさらに強化していきたいと考えています。

また、現地スタッフとの連携を深め、柔軟かつ効率的な組織運営を続けていく予定です。
最終的には、地方の活性化と外国人観光客の受け入れを同時に実現し、持続可能な社会の構築に貢献したいと考えています。

会社紹介

むちのち株式会社

カルチャーブリッジング事業、ダイバーシティ教育事業、インクワイアリーサポート事業など。留学という経験とアイデンティティを元に、ビジネス展開を行っているベンチャー企業。

今回深堀りしたカルチャーブリッジング事業では、各国の文化背景を熟知したスタッフとともに、外国の価値観との差を埋める架け橋となり、翻訳以上の価値を与えるビジネスの強い味方です。

まとめ

今回の取材を通じて、むちのち株式会社の代表者である大神さんと鴻野さんが掲げるビジョンと、その実現に向けた具体的な取り組みについて深く理解することができました。

カルチャーブリッジング事業を中心に、言語翻訳、文化理解支援、映像教材の制作など多岐にわたるサービスを展開し、「みんなが『自分』を生きられる社会」を実現することを目指しています。

特に印象的だったのは、留学生というアイデンティティを活かしたビジネスモデルです。
他の共存共栄のビジョンと一線を画し、それぞれの個性をビジネスにまで落とし込むための戦略がよく考えられています。
日本へのインバンドや、海外市場への展開をさらに強化し、グローバルな視点でのビジネス展開など、期待が持てる企業です。

彼らが大切にしている「むちのち」という理念は、常に自分たちが知らないことを認識し、それを学び続ける姿勢を指します。この姿勢が、彼らの企業文化を形成し、持続可能なビジネス成長を支えていくでしょう。

自分たちが知らないことを認め、それを学ぶことで、より良いサービスを提供できると信じている彼らの姿勢は、今後のビジネス展開においても大きな強みとなることも弊社も改めて感じました。

著者情報

Picture of 二田 誠

二田 誠

D2Frontierの代表。2000年代のWEB黎明期にライターデビュー。その後デザイン、サウンドエンジニアなど、幅広い職歴を持つ。
月間1億PVを超えるサイトのメインクリエイターとして活躍し、その後もWEB業界で長期間活動を続けている。
現在はWEBを中心に企業のマーケティング推進の貢献を続けている。

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