業界全滅からの復活
SNSフォロワー100万人を超える企業の思考
古民家から横浜の一等地に事務所を構えられるほどの成長を遂げた裏側
今回は「自由な未来を作る冒険をしよう」といったテーマを持って活動されているプラコレ様にインタビューをしてきました。
横浜駅直結のビルに拠点を構えられるまでの冒険の記録をお聞きすることが出来ました。
インタビューを受けてくれた方
冒険社プラコレ
(株式会社プラコレ)
CEO 武藤 功樹 様
まさにビジネスの冒険家。Facebookから始まり、SNSで100万フォロワーを持つ冒険社プラコレのテーマ「自由な未来を作る冒険をしよう」を体現されたような方です。
創業から8年間、冒険をする仲間と苦難を乗り越えてこられました。
現在は、その冒険の軌跡をシステムとして形にし、多くの人に”自由”を実感する体験と価値を提供されています。
ビジネスモデルについてのご質問
Q.まずはじめに、全ての方々といったメッセージがあるかと思いますが、具体的にどのような方がターゲットなのかお伺いさせてください。
A.
ウェディング業界と聞くと、Z様がいると思いますが、Z様がウェディングの体験を提供できているのって50%ぐらいの方なんですよね。
残り50%の方は様々な事情で諦めていますし、そこにプラコレが提供できる価値があるんじゃないかと考えて現在の形になりました。
結婚式の需要はウェディングドレスを着る方が中心なので、そもそも結婚式という”型”が無くてもいいんじゃないかと思ってからですね。
Q.結婚式は無いウェディングというのは、写真などですか?
A.
フォトウェディングも提供していますが、たくさんのウェディングドレスがあるDRESSY CAFE(ドレシーカフェ)を運営していまして、試着や実際に見ながらゆっくり考える空間を提供しています。
インタビュー
Q.早速ですが、御社のチーム体制についてお伺いさせてください。
Aマーケティングのチームが一番人数が多いですね。大体4割ぐらいがマーケティングです。
現状2割ぐらいが営業の人数で、あとはエンジニアやその他の役職といった体制になってます。
Q.ありがとうございます。マーケティングの人数が多いのはどういった理由からですか?
A.自社でSNSを運営しているので、どうしてもこうなってしまうんですよね。
先日100万フォロワーを突破して、今週も7000人ほど新規のフォロワー獲得もできたので、もうすぐ101万フォロワーになりそうです(笑)
BtoBのビジネスについても、これだけ見てもらえる方がいれば認知をしてもらえていて、共感いただけた方からお問い合わせをもらっています。
今は営業のアウトバウンドは一切していないですね。
まさにSNSを活かした経営をされているのですね。 チームとして工夫されていることはありますか?
A.チームの工夫としては、SNSを深く理解する。というのが僕らの根底にあります。プレイヤーとしてやってる感じですね。
それぞれSNSを運用している中で得られた経験をシェアするといった感じなので、全員がSNSに関わっています。
ありがとございます。
トッププレイヤーだからこそできるサービスなのですね。
そうですね。
そもそもプラコレってウェディングドレスを研究するチームなんですよね。
この研究の一環としてウェディングドレスを利用される方との繋がりでSNSで100万フォロワーを獲得して、その成果をクライアントだったり、SNSのフォロワー様に還元するような形で心がけています。
それぞれ分業されているような形なのでしょうか?
A個々の役割はもちろんあるのですが、うちは全員が考えて全員が行動するといった体制なので、全員主体性を持って行動してくれていますね。
マーケティングだけじゃなく、エンジニアの人たちが新しい提案をしたり、ちゃんと意見ができる状態を作っています。
意見しかないんじゃないかな(笑)
トップダウンはないですね。やりたいことをやってもらって、会社が成長していくと考えています。
お客様に喜ばれるようなタイミングはどのような瞬間ですか?
A一番喜びを感じるのは、クライアントの外注先と言った形ではなくSNSの運用を通じて「クライアントの仲間」として見てもらえた時ですね。
プラコレのメンバーも単なるクライアントのSNS担当ではなく、商品を盛り上げていく一員として動いています。
SNSをやっていると場合によっては、商品企画や採用制度なんかも提案したりしますね。
まさに社員全員で冒険をされているような形なのですね。
次の質問をさせていただきます。
関連している企業様とのやり取りや、営業などで工夫されている点をお伺いさせてください。
A.
サービスによってそれぞれ違うのですが「クライアント様の言いなりにならない」が大切ですね。
言いなりにならないですか?
A.アウトバウンドをしていないとも関連して、基本的に問い合わせベースが多いんですよね。
理由としては、商品の良さももちろんありますし、プラコレが新しい価値を提案することが大切だと思っています。
SNSを運用するチームって世の中にいくらでもあると思うんですけど、ただクライアントのアカウントを運用するだけの会社様とかが多くて「評論家」になってしまっているんですよね。
例えるならサッカーをしたことがないのに監督になってしまうようなイメージです。
その中で100万フォロワーを持って一流プレイヤーになってから、監督になるような形でクライアント様にはプラコレにしかない価値を提供できると考えています。
独自の価値がそのように生まれているのですね。勉強になります。
恥ずかしながら、聞いていくとどのような方が御社にアクセスされるのかイメージが付かなかったのですが、
BtoBのクライアントに多い業界とかはどこになるのでしょうか?
100万フォロワーを持っていると、そこから注目をしてくれて様々なお問い合わせをいただけます。
美容、化粧品、時計、エステなど、女性向けの商材を持っている企業様がターゲットになっています。
ウェディングを中心とした市場形成がされているわけですね。
次の質問に行きたいと思います。
御社の名前で「冒険」とありますが、新しい価値を作り出そうとするとどのようなハードルができるのでしょうか?
A.正直うまくいかないことだらけですね。
失敗を失敗としない文化を大切にしているので、方向性としてはあってるんですけどね。
今回お出しした紅茶も社員のアイディアで勝手にやってる感じですし。
こんな感じで挑戦をしているので、美容品とかをリリースしても一個も売れなかったりとかもありましたね。
ただ、コロナのタイミングで会社が潰れそうな危機はありました。
コロナでブライダル業界は全壊滅しちゃいましたし、その影響で売り上げは三分の一まで落ちましたし、潰れる寸前まで行きましたね。
オフィスを全部畳んで、古民家に移動するような体制になってしまいました。
その時社員が60人ぐらいいたんですけど、30人がやめていき、その時はどうにかしなければいけないと思って、当時はテレアポとかもしまくっていましたね。
それは大変でしたね……。
その時期はどうにか乗り切って、今鎌倉でカフェをやっている場所にオフィスを移動して、今のオフィスに来た感じです。
当時は鎌倉の場所も最初からカフェをやろうと思ったのではなく、今のオフィスのお話をいただいた時に場所が余って「どうする?」となった時に生まれたアイディアだったんですよね。
その時に出たのが「ウェディングドレスの価値をどうやって伝えるのか」をクリアするためにカフェをやったといったキッカケでした。
一周回ってSNSから抜け出してリアルに。のような形なのですね。
そうなんですよ。おっしゃる通りで。
SNSだけでやっているとブランド的には安心化を訴求できなくて、リアルがちゃんとあることが大切だと思います。
リアルをやることによって掛け算式にファンが交流できる世界を作りたかったという思いからこのようにしました。
思いというのは、御社の名前の「冒険社プラコレ」という名前とも関連してくるようなお話ですか?
A.そうですね。プラコレは
プランニングコレクション=アイディアが集まる場所
という意味がありまして、個性を認め合う(多様性)を大切にしています。
この会社ができた経緯でもあるのですが20代の頃に会社の社長をやっていたのですが
前の会社が乗っ取られてしまったんですよね。
そこで全てを失った経験から、仲間を大切にする会社を作りたくて、今のプラコレがあるような感じです。
それはまた壮絶なご経験ですね。
ええ。
その時に自分が追い出されてしまったのもあって、都合で人を切るような会社にはしたくなかったんですよね。
ただ、創業3年目ぐらいで先ほどのコロナの状況があって、本当にその時のことは悔しいです……。
業績が悪化してしまうと僕らが見捨てられて、去っていく方もいました。
本当に仲間を大切にしようと思っていたところが、価値観を強制的にリセットされ地獄のような日々でしたね。
そこからどのようにして今の形になったのでしょうか?
コロナになる前は結構色々手を出していた時期があったんですよね。旅行サービスとか不動産とかもありましたし。
その辺りを一旦全て捨てました。
ウェディングドレスの研究とSNSでの発信を中心とした形になったのはこの時ですね。
会社の方針が決まった瞬間だったのですね。
Q.その経験が生かされているところがサービスに反映されているのでしょうか?
特にViket Town(ビケットタウン)はこの思いが強く反映されています。
人の気持ちってどうしても隠すじゃないですか。モチベーションを測るのも難しいですし。
特に古民家のときがそうだったのですが、1階と2階で別れていると、チームごとで分断しますしコミュニケーションが取れなかったタイミングがあったんですよね。
その時に、物理的な出社空間ではなくて、オンラインにしようと思ったんですよね。
多様性を重視する中で、コミュニケーションでの物理的な制約を無くして、産休をしていたり、育児をしている方など、出社が難しい人たちとの差をなくせるようにしたかったと思っています。
産休などで出社できないと、置いて行かれてしまうような感覚になる方がいると聞いて、コミュニケーションの不利を無くせる仕組みを作りました。
出社しないと劣等感を感じてしまうような状況を無くして、誰もが自由になれるサービスになっています。
確かに人の気持ちなどを聞き出すのは難しいですよね。
弊社もSlackでオンライン出社の体制をとっているのですが、コミュニケーションを引き出すのって難しくありませんか?
A.その点については、Viket Town(ビケットタウン)の中にはVikeという仮想通貨というかポイントのようなものがあるんですよね。
仲間にメッセージを送ったり、スタンプを送ると貯まるような仕組みです。
これでコミュニケーションを多くとるほど自己表現の自由度が上がるように作っています。
Vikeで買えるのはアバターだったり服なんかも買えます。
インナーコミュニケーションを重要視して、ゲーム感覚で進めて行けるようなツールになっていると思います。
本当にゲームみたいな画面ですね。
そうなんですよ。ゲームって楽しめるのに、仕事ってなんで楽しめない人がいるんだろう?と思っていたんですよね。
対価がお金だけなのが問題なのではないか?といった考えをして「ありがとう」などを数値化できれば面白いんじゃないかといった理由からです。
チームでスクラムって言って、どれぐらい稼いだかとかも見れたりします。
AIで面白い機能としては、愚痴を聞いてくれる寄り添ってくれる「ドレシーちゃん」という人格もあったりしますね。
問題解決というよりも、心のケアだったり、癒しなどの、聞くことを重要視した機能が組み込まれる予定です。
ロジカルに解決を求める人たちというよりも、今を大切にしている人たちむけのサービスに近いかもしれないですね。
ありがとうございます。思いがかなり反映されたツールなのですね。
確かにコミュニケーションはどの企業でも出てくる難しい課題ですよね。
次の質問なのですが、
コロナの波を乗り越えてこれから御社はどのようになっていくのでしょうか?
A.そうですね……結構難しい質問ですね。
コロナが始まる前はPDCAを回したり、将来どうするなどの逆算思考だったのですが、その後からあまり考えないようにしてるんですよね。
想像しないことを今は大切にしていますね。
こうなりたいとか、こうなるべきだ。といったものを持たないようにしています。
ウェディングドレスの研究を続けることをやり続けたい。と言った感じです。
ただ、この状況を続けるためにもSNSのフォロワー数は意識してますね。
今週ちょうど100万フォロワーを超えて、先週だけで7000フォロワーも増えてますし。
研究を広めて、相互に役に立てるような3年後も、4年後も、続けていける世界観にしていきたいと考えています。
Q.ありがとうございます。最後に今までお伺いした工夫を行って、認知を広げている御社の商品について詳しく教えてください。
商品について
創業から今のスタイルに至るまでの秘話
1.強の業界だからこそ生まれるチャンスを見つけた
創業される前に元々ブライダル業界で働いていて、業界を独占している雑誌社様(以後Z様)がある中で、1強状態であればそこに何かビジネスチャンスがあるんじゃないかと思い、この業界に注目をしていました。
結婚式をあげないカップルが増えている中で、結婚式をあげない理由になるのは誤解があるんじゃないかと考えました。
結婚式場の比較をしたり、見学したり、ブライダルフェアだったり、いろいろ大変なイメージがあると思うんですよね。Z社様だけだと解決できないニーズ50%もいるんですよね。
その今まで諦めていた”なし婚層”なる方々に提供できるサービスを作ろう、という思いでチャット形式で気軽に解決できるPLACOLE WEDDINGというサービスを開始しました。
2.広告費などで絶対に勝てないのでSNSから始めた
Z社様って雑誌が一番イメージ強いと思うんですけど、テレビCMもそうですし、プロモーション費用で新規参入だと絶対に勝てないんですよね。
そこで、当時Facebookを始めたらエンゲージメントがすごく取れたので、結婚式というよりもきっかけを与えてあげると、なし婚層の人たちにサービスを届けられると気づいて、今の会社のスタイルが確立してきました。
3.プラコレはウェディングドレスを研究するチーム
事業としては各社様のウェディングドレスを紹介したりして広告費をいただく、いわゆるメディア事業なのですが、プラコレが提供している価値はウェディングドレスを研究することにあると考えています。
そのものを販売することもありますが「ウェディングドレス✖︎カフェ」のような掛け合わせで、新しく開拓する立場が中心と考えています。
Viket Town
アバターで働き、成長していくシミュレーションゲームのようなビジネスツール。経営・組織力強化に向けた「インナーコミュニケーション」を促進し、見える化するメタバース空間。社内に自律自走方組織(DAO型)を構築できる、リモートワーク、ハイブリッドワーク時代No.1のメタバースオフィス。
あとがき
コロナ禍により業界全体が冷え込んだブライダル業界での復活劇は、仲間とともに冒険するという指針があるからこそ成し遂げられた成果だと感じる取材でした。
二田 誠
D2Frontierの代表。2000年代のWEB黎明期にライターデビュー。その後デザイン、サウンドエンジニアなど、幅広い職歴を持つ。
月間1億PVを超えるサイトのメインクリエイターとして活躍し、その後もWEB業界で長期間活動を続けている。
現在はWEBを中心に企業のマーケティング推進の貢献を続けている。