企業インタビュー

株式会社Synergy Career

情報を届け、その先の選択を支える。
Synergy Careerのキャリア支援とAI活用

就活生が自分で選べるように、情報と支援をつなぐ

インタビュー / 岡本 恵典 様 / 和田 翔真 様
株式会社Synergy Career ロゴ

就活生が自分で選べるように、情報と支援をつなぐ

就活の全体像が見えず、周囲に合わせて選考を進めてしまった自身の経験。その課題をきっかけに「就活の教科書」を立ち上げた岡本恵典様は、情報発信から公式LINEでの相談、キャリア面談、人材紹介へと、就活生を支える事業を広げてきました。

株式会社Synergy Careerでは、若手や学生インターンにも数字を任せ、挑戦を支える体制をつくっています。内定者インターンの和田翔真様がClaude Codeを使って開発した「SPI模擬テスト」も、その取り組みの一つです。代表の岡本様と開発を担った和田様に、事業の歩み、情報の信頼性、生成AIの実務活用、そしてキャリア支援のこれからを伺いました。

今回ご回答いただいた方

株式会社Synergy Career 代表取締役社長 岡本恵典様

株式会社Synergy Career 代表取締役社長

岡本 恵典 様

国家資格キャリアコンサルタント。2018年6月に「就活の教科書」を立ち上げ、2020年6月に法人化。会社の創業背景、各事業、情報の信頼性、若手育成、今後の展望についてご回答いただきました。

株式会社Synergy Career 内定者インターン 和田翔真様

「就活の教科書」編集部 内定者インターン

和田 翔真 様

SPI模擬テストの企画・設計・開発・公開後の数値確認を担当。開発の経緯と実務への導入についてご回答いただきました。

創業の背景と、3つの事業のつながり

まず、Synergy Careerはどのような会社ですか。

岡本様:株式会社Synergy Careerは、2020年6月に大阪で設立した人材会社です。事業は「メディア事業」「求職者送客事業」「人材紹介事業」の3つで、いずれも起点は就活情報サイト「就活の教科書」です。

それぞれの事業について、もう少し詳しく教えてください。

メディア事業では、「就活の教科書」を通じて、自己分析・ES・面接・業界研究などの就活ノウハウを、実際に就活を経験した学生・内定者の視点で発信しています。累計1億PV、月間100万人以上が利用し、掲載記事は2,400記事以上です。

求職者送客事業では、「就活の教科書」の記事を読んだ就活生に公式LINEへ登録してもらい(登録者34万人超、毎月数千名が新規登録)、本人の状況を伺ったうえで自社のキャリア面談へご案内し、必要に応じて提携する人材会社へおつなぎしています。企業側にとっては、能動的に情報を探している意欲の高い学生と出会える成果報酬型の採用チャネルです。

人材紹介事業は2025年1月に開始し、2026年6月には新卒向け内定サポート「ぴたキャリ就活」として正式にリリースしました(厚生労働大臣許可 27-ユ-304518)。自己分析からES添削、面接対策、企業紹介までアドバイザーが伴走します。

記事を届けた先まで、支援を広げられているのですね。3つの事業は、どのようにつながっているのでしょうか。

つながりとしては、「記事で知る → LINEで相談する → 面談で自分に合う企業と出会う」という一本の流れです。情報を届けるだけで終わらせず、行動まで支えることが、私たちの掲げる「人と企業が共に成長する社会」につながると考えています。

岡本様が「就活の教科書」を立ち上げたきっかけを教えてください。

岡本様:原点は、私自身の就活と最初の就職で感じた課題です。大阪府立大学(現・大阪公立大学)大学院で化学を専攻し、研究一筋の学生生活でしたが、「本当に研究者になりたいのか」と迷い、文系就職を選びました。ただ、当時の私は就活の全体像を理解しないまま、周りの雰囲気に合わせて選考を受けていました。自分の適性や「何ができるか」を客観視できず、選考に落ちた本当の原因とも向き合わないまま、2015年に新卒でITベンチャーの営業職に入社しました。入社後も自分の強みを活かす働き方が見つからず、約9か月で退職しました。

退職後は、どのように次の道を探されたのですか。

退職後は、アプリを作ったり、YouTubeに動画を上げたりと、「自分にできること」を探し続けました。その中で最も成果を伸ばせた、つまり自分の力を発揮できたのがWebメディアでした。自分が設計したサイトに、読み手が求める情報を置き、価値を届ける。小中高と没頭したトレーディングカードゲームの「勝てるデッキを組む」感覚と本質的に同じだと気づいたとき、進む道が見えました。

Webメディアの手応えを、就活支援へつなげたのはなぜでしょうか。

決定的だったのは、出身大学の就活座談会で後輩たちと話したことです。就活の全体像を理解できないまま、周りの雰囲気だけで就活を進めている姿は、昔の自分を見ているようでした。就活生が全体像をつかめず、企業発信の情報に流されて自分らしい選択ができないまま入社し、後悔する。この構造を変えたいと考え、2018年6月に「就活の教科書」を立ち上げました。

変えたかったのは、「情報格差」と「就活の全体像の見えにくさ」です。就活生自身が情報を取捨選択し、自分で考えて決められるようになること。「就活の教科書さえ見れば迷わない」と言われるメディアを目指し、2020年6月に法人化しました。

事業を続けていく中で、特に難しかったことは何でしたか。

岡本様:最も難しかったのは、メディアを「組織」として回すことでした。立ち上げ後、学生ライターを30名ほど雇用し、マネージャーを立てて仕組み化を進めましたが、組織が大きくなるほど自分の力不足を痛感しました。

就活メディアには明確な閑散期があります。当時は経営経験が浅く、その波を楽観的に捉えてしまい、苦しい時期を経験しました。採用でも、自分の直感に頼りすぎてミスマッチを招き、仲間に苦労をかけました。この反省から、個人の感覚に頼らない「戦略的な仕組みづくり」の重要性を身をもって学びました。

経営と採用の両面で、仕組みの必要性を感じられたのですね。そこから、どのような転機があったのでしょうか。

転機は、ライターとして関わる学生を「就活経験者の当事者」として位置づけたことです。学生・内定者が自分の就活で本当に困ったことを記事にする体制にしたことで、読者の悩みに近い記事が増え、検索での評価も伸びました。最初に手応えを得たのは、この時期に月間PVが大きく伸びた頃です。その後、「みんなのキャリアAWARD」の就活情報サイト満足度部門で、2022年・2023年と2年連続で最優秀賞を受賞しました。

収益面では、広告収益中心のモデルから、公式LINEを通じた求職者送客、さらに自社の人材紹介へと収益源を広げてきました。メディア単体の季節変動に左右されにくい構造をつくることも、当時の反省から生まれた取り組みです。

その経験は、今の組織づくりにどう生きていますか。

現在にも生きている工夫は3つあります。1つ目は、成果(KPI)と行動(バリューの体現)で毎月1名を表彰するMVP制度。2つ目は、事業ごとに責任者を置き、「1つの会社のように」売上と利益を考えてもらう分権。3つ目は、月1回のキャリア1on1で、理想のキャリアと現状のギャップを確認する仕組みです。誰が関わっても成果が出て、正当に評価される「再現性のある組織」を今も追求しています。

当事者の視点と、情報の信頼性

記事づくりについても伺います。数ある就活メディアの中で、「就活の教科書」らしさはどこにありますか。

岡本様:大切にしているのは、「就活を経験した当事者が、自分の言葉で書く」ことです。「就活の教科書」の編集部には、就活を終えたばかりの学生・内定者・若手社会人が在籍し、累計100人以上のインターン生とともに運営してきました。企業発信の情報ではなく、就活生が「いま知りたいこと」から記事を作るのが他との違いです。

当事者の経験は、記事にどのように生かされているのでしょうか。

具体例を挙げると、ES添削や面接対策の記事は、内定者が実際に提出したESや、実際に聞かれた質問をもとに作っています。「内定者が選んだおすすめサービス」のような記事も、メンバーが実際に使って議論したうえで選んでいます。

また、専門用語や複雑な選考情報を、初めて就活をする学生でも分かるように整理することを重視しています。記事内の「就活生くん」「就活生ちゃん」との会話形式は、読者が抱く素朴な疑問をそのまま代弁する仕掛けです。

読者の悩みは、どうやってつかんでいますか。

読者の悩みは、人材紹介事業での相談や読者の声から拾い、記事テーマに反映しています。たとえば「記事を読むだけでは、本番の時間配分や画面での解き方に慣れられない」という声を受けて、記事だけでなく本番形式で解けるSPI模擬テストを作りました(第4章参照)。SNSに比べて即時性では劣りますが、根拠を示し、専門家の監修を経た「腰を据えて読める情報」であることが、私たちの価値だと考えています。

「THE CAREER STORY」と「就活総合研究所」を始めたのは、どのような背景からですか。

岡本様:「就活の教科書」のノウハウ記事は、就活を「どう進めるか」を届けるのは得意です。一方で、「社会にはどんな働き方やキャリアがあるのか」「他の就活生はどう考えているのか」といった視野を広げる情報は、内定者の体験談だけでは届けにくい面がありました。そこで立ち上げたのが、この2つの企画です。

2つの企画は、それぞれどんな役割を担っているのでしょうか。

「THE CAREER STORY」は、大学教授や企業の経営者・採用担当者など、キャリアの第一線にいる方々に取材し、インタビュー記事として発信するサイトです。学生の体験談とは違う専門家や社会人の視点から、就活の考え方やキャリア形成のヒントを届けることを狙っています。これまで多くの大学や企業にご協力いただき、生成AIを使った就活の効率化や、「やりたいことを仕事にするだけが正解ではない」といったテーマを取り上げてきました。

「就活総合研究所」は、26・27卒の就活生にアンケートを行い、就活の実態をデータで発信する調査サイトです。AI面接への抵抗感、MBTI診断が就職に与える影響、理想の初任給など、就活生のいまの意識を数字で示しています。学生には自分の考えを客観的に見直す材料として、企業や大学には学生の実態を知る手がかりとして使ってもらうことが狙いです。

情報を発信した後には、どのような反応がありましたか。

反応としては、調査結果を他社メディアや企業のサイトで引用いただく機会が増えています。2025年10月には、ABEMAのニュース番組「ABEMAヒルズ」でMBTI診断に関する調査を紹介いただきました。

記事の情報を確認・更新するうえで、大切にしていることを教えてください。

岡本様:情報の確認・更新については、編集部による校閲に加え、キャリアコンサルタント・大学教授・社会保険労務士・弁護士など累計100名以上の専門家に記事監修をお願いしています。可能な限り根拠(調査データや公的情報)を明示し、主観だけに偏らないことを制作ポリシーにしています。また、選考スケジュールやサービス内容など変わりやすい情報は定期的に見直し、記事に更新日を明記しています。

専門家の確認を受け、公開後も見直しを続けているのですね。広告や提携先との関係は、読者にどう伝えていますか。

広告・提携関係の伝え方については、プロモーションを含む記事にはその旨を明記し、紹介サービスの評価には利用者の口コミを添えるようにしています。おすすめサービスの紹介順も、実際に利用した就活生の評価や口コミを加味して決めています。運営責任者である私が国家資格キャリアコンサルタントとして記事確認に関わる体制も、信頼性のために続けています。

情報を読んだ先の、一人ひとりへの支援

情報を届けた先の支援についても伺います。メディアから、求職者送客や人材紹介へ事業を広げたのはなぜですか。

岡本様:求職者送客事業は、「就活の教科書」のLINE登録者が増えるにつれ、提携する人材会社から「意欲の高い学生を紹介してほしい」という声をいただいたことが始まりでした。一方で、「記事を読んでも、自分に合う企業が分からない」「書いたESを直接見てほしい」といった相談が多く寄せられ、情報を届けるだけでは一人ひとりの悩みに応えきれないと感じていました。ただ、他社に送客するだけでは、面談後に学生がどうなったかを追いきれません。最後まで責任を持って支援したいという思いから、有料職業紹介の許可を取得し、自社でのキャリア面談・企業推薦を始めました。

学生を紹介した後も、ご自身たちで支えたいという思いがあったのですね。新しい事業を始めるにあたり、どんな体制が必要でしたか。

立ち上げ時に新たに必要になったのは、まずキャリアアドバイザーの体制です。元リクルートのメンバーなど、人材業界での経験を持つメンバーに参画してもらいました。次に、LINEでのヒアリングから面談予約、企業への推薦、内定後のフォローまでを管理する仕組みと、個人情報を扱うための社内ルールです。メディアの延長ではなく、「一人の学生に向き合う」事業として、育てているところです。

記事を読んだ就活生は、その後どのように支援へつながるのでしょうか。

岡本様:流れは大きく3段階です。まず、記事を読んで就活の悩みを持った学生に、公式LINEへ登録してもらい、志望業界や希望勤務地を伺います。次に、自社のキャリア面談にご案内し、アドバイザーが希望職種や就活の進み具合、どんな会社に入りたいか、将来どんなキャリアを描きたいかを詳しくお聞きします。

そのうえで、自社で対応できる学生には、自社のアドバイザーが企業推薦から内定後のフォローまで伴走します。本人にとってより合う支援を提供できるエージェントがある場合は、提携先にご依頼しています。最初に必ず自社で本人と向き合うことで、一人ひとりに合った支援先を判断できるようにしています。

面談や他社への紹介を進める際、本人の意思はどう確認していますか。

本人の意思と同意については、面談の案内は必ず本人の希望を確認してから行っています。提携先に情報を共有する場合は、共有先と共有する内容をお伝えしたうえで、同意をいただいています。案内を受けるかどうかは本人が選べ、断ることもできます。

生成AIを使った開発と、若手の挑戦

ここからは、開発を担当された和田様に伺います。和田様が開発した「SPI模擬テスト」は、どのようなツールですか。

和田様:作ったのは、就活生が本番形式でSPIを受けられる「SPI模擬テスト」です。「就活の教科書」のサイト内に追加しています。

URL:https://reashu.com/spi-exam/

開発しようと思ったきっかけを教えてください。

解決したかった課題は2つです。1つは、SPI対策の記事は多く読まれているものの、「記事を読むだけでは、本番の時間配分や画面での解き方に慣れられない」という就活生の声があったこと。もう1つは、自分がKPIとして担当している「サイト内からの公式LINE登録者数」を伸ばす手段が、記事末尾の案内に頼っていたことです。

就活生は、どのように利用するのでしょうか。

利用者は、SPIを受ける予定の就活生です。主な機能は、実際のSPIを再現した形式で問題を解き進め、最後まで解くと結果を受け取れることです。結果はLINE登録後に受け取る仕組みにしており、これがLINE導線になっています。問題と解答は、自社メディアにすでにあったSPI記事から持ってきて、模擬試験の形に組み直しました。

和田様はどこまで担当し、AIをどのように使ったのですか。

担当範囲は、企画・設計・開発・公開後の数値確認まで、基本的に一人で行いました。デザインは、既存のSPI対策サービスで使いやすいと感じた点を整理し、そこからClaude Codeと対話しながら自分の思う形に近づけました。AIは開発の補助として使い、コードは1から全部AIと一緒に書いています。ツール自体にAIの機能は組み込んでいません(問題は固定で、採点もルールベースです)。

株式会社Synergy Career 内定者インターン 和田翔真様
業務に取り組む和田翔真様(提供:株式会社Synergy Career)

開発の過程について、もう少し伺わせてください。開発に着手する前から、プログラミングの経験はあったのでしょうか。

和田様:着手前は、プログラミングにはそれほど興味がなく、開発経験もありませんでした。大学では食品を研究しており、AIとも無関係です。ただ、自分でブログを運営していた経験があり、Webメディアには興味を持っていました。

そこから、実際にツールを作り始めたきっかけは何でしたか。

会社の費用負担でWebデザインのスクールに半年ほど通う機会をもらい、HTML・CSSなどコーディング自体への抵抗は多少なくなっていました。そのスクールの最後に「学んだことを使って、会社の役に立つ成果を作る」という卒業課題があり、何かを作らなければいけない状況になりました。それまでClaude Codeは触ったことがなかったのですが、1回使ってみたら「自分でもけっこう簡単に作れるんだな」と気づいたのがきっかけです。

Claude Codeを使った開発は、どのように進めたのですか。

学習方法は、教材で体系的に学ぶというより、「作りたいものをClaude Codeに日本語で伝えて、返ってきたものを動かして、違うところを直してもらう」の繰り返しでした。つまずいたのは、本番サイトに入れる部分と、スマートフォンでの表示崩れです。既存の記事やLINE導線に影響を出さないよう、公開前に上司に確認してもらい、まず限定的な範囲で試してから全体に反映しました。

まず動かし、確認を受けながら形にしていったのですね。AIのコードを使ううえで、自分で理解・判断するために工夫したことはありますか。

自分で理解・判断するために工夫したのは、AIが書いたコードをそのまま信じず、「このコードは何をしているか」を必ず説明させ、自分が説明できる状態にしてから採用することです。あとは、最初から完璧なものを目指さず、動く最小の形を作って社内で見てもらい、反応を見て直していったことです。

公開後、ツールはどのように利用されていますか。

和田様:公開後、SPI模擬テストのページは多くの就活生に利用され、現在は「就活の教科書」からLINE登録につながる導線の1つになっています。

ツールを作ったことで、編集部の仕事にはどんな変化がありましたか。

作業時間の変化については、開発前後で編集部の作業時間を計測していたわけではないので、厳密な比較はできません。ただ、これまで「記事を書いて末尾でLINEを案内する」しかなかった集客手段が、「ツールを作って導線にする」に広がったことで、記事1本あたりの登録効率という考え方が社内に定着しました。現在は、社内の他のメンバーも診断ツールや模擬試験など、複数のツールをAIで開発・改善しています。

利用した就活生からは、どんな声が届いていますか。

利用者の反応としては、「本番の形式で練習できて時間配分の感覚がつかめた」「無料でここまで解けるのはありがたい」という声をいただいています。

安全に使ってもらうために、どんな確認をしていますか。

安全面では、問題・解答は自社記事を元にしており、公開前に編集部で内容を確認しています。公開後に誤りの指摘があった場合は、該当問題を確認して修正し、必要があれば一時的に非表示にします。公開前の動作確認は、PC・スマートフォンの両方で、最後の結果表示とLINE導線まで通して行いました。個人情報については、ツール上では氏名やメールアドレスなどの個人情報を取得していません。LINE登録以降の情報は、公式LINEの運用ルールとプライバシーポリシーに沿って管理しています。

ここからは再び岡本様に、若手の挑戦を支える仕組みについて伺います。岡本様は、若手や学生インターンにどのような裁量を任せていますか。

岡本様:若手や学生インターンに任せるときの基本は、「数字を1つ持ってもらう」ことです。和田のケースでは、サイト内からのLINE登録者数というKPIを持ってもらい、その数字を動かす手段は本人に考えてもらいました。裁量は大きく、本人がやりたい施策は基本的に受け入れます。上司が別のやり方を提案することはありますが、挑戦すること自体は止めません。

任せた後は、どのように相談やレビューを行っていますか。

一方で、責任を丸投げにはしません。相談・レビューの体制として、①日次の作業報告、②リーダーとの週1回の1on1、③本番サイトに影響する変更の公開前チェック、の3つを設けています。また、成果が出ないときは「数字を分解して、どこがネックかを一緒に考える」ことを繰り返し、本人が自分で改善できるようにしています。

学生に近い視点やAIを使う力は、事業にどう生きていますか。

学生に近い視点やAI活用力が事業に生きた例が、まさにSPI模擬テストです。就活生として「記事だけでは本番の形式に慣れない」と感じていた本人の視点と、Claude Codeを使い切る力が結びついて、LINE導線の1つとなるツールが生まれたと感じています。

本人の成長につながった姿勢や経験は、どのようなものでしたか。

操作スキル以外に評価しているのは、AIの出力をそのまま使わず、自分で説明できるまで理解してから採用する姿勢です。和田も、コードの意味を必ずAIに説明させてから使っていました。もう一つは、完璧を目指す前に動く形で見せ、周りの反応を見ながら直していく姿勢です。

成長につながった経験としては、会社の費用負担でWebデザインのスクールに通ってもらい、その卒業課題として「会社の役に立つ成果物」を作ってもらったことが大きかったと思います。学んだことを実務の成果につなげる場を用意したことで、本人の自信にもなり、今では他のメンバーがツール開発に取り組むきっかけにもなっています。

AIと人の対話で描く、キャリア支援のこれから

AIが広がる中で、就活メディアに求められる役割はどう変わると思いますか。

岡本様:就活生の情報の探し方は、検索してサイトを読むことから、AIに直接質問することへと変わりつつあると感じています。一般的な就活ノウハウはAIがすぐに答えてくれる時代なので、就活メディアに求められるのは、AIが持っていない情報を届けることだと考えています。具体的には、当事者の体験談や選考の実例、専門家へのインタビュー、就活生への独自調査といった一次情報と、SPI模擬テストのように実際に手を動かして使えるツールです。

キャリア支援の中では、AIと人による対話をどう組み合わせたいと考えていますか。

AIが役立つのは、ESのたたき台づくりや面接の想定問答、業界研究の情報整理など、量をこなして準備する場面です。学生が一人でも練習や準備を進められるようになったのは、大きな変化だと思います。

一方で、人による対話を大切にしたいのは、「どんな会社に入りたいのか」「どんなキャリアを歩みたいのか」を言葉にしていく場面と、どの企業を受けるか、内定を承諾するかといった最終判断の場面です。キャリア面談では、本人も気づいていなかった価値観や迷いが、対話の中で初めて見えてくることがよくあります。AIで準備の効率を上げ、空いた時間を人との対話に使う。この組み合わせが、これからのキャリア支援の形だと考えています。

最後に、これからの展望を伺います。今後3〜5年で、どのような変化を生み出したいですか。

岡本様:今後3~5年で生み出したい変化は、「就活の教科書を入口に、情報収集から内定、入社後の活躍まで一貫して支えられる状態」をつくることです。就活生一人ひとりが、企業発信の情報に流されずに自分で選び、企業側も「合う人」と出会えるようになることが、「人と企業が共に成長する社会」の実現だと考えています。

その実現に向けて、優先する取り組みを教えてください。

優先する取り組みは3つです。第一に、人材紹介事業「ぴたキャリ就活」を、面談の質と紹介先の幅の両面で伸ばし、地方や忙しい学生にも届く支援にすること。第二に、メディア事業では、AI時代に価値が残る一次情報(当事者の体験談・インタビュー・独自調査)と、AIを活用して開発する診断・練習ツールを増やすこと。第三に、これらを支える組織づくりです。誰が関わっても成果が出て、正当に評価される「再現性のある組織」を、若手の裁量を維持したまま作り上げたいと考えています。

実現までに、特に乗り越えたい課題は何でしょうか。

乗り越えたい課題は、市場の変化の速さです。就活の早期化、オンライン化、AIによる情報収集の変化は毎年続きます。その変化に乗りながら、自分たちの強みを活かせる形に改善し続けることが、大変でもあり、この事業の面白さでもあります。また、少人数の組織で事業を3つ運営しているため、人の採用と育成が引き続き最大のテーマです。

大学や企業とは、どのように連携していきたいですか。

連携を期待しているのは、大学のキャリアセンターや教員の方々と、新卒採用に取り組む企業の皆さまです。大学とは、「THE CAREER STORY」での取材や独自調査のデータを通じて、学生の実態を共有しながら支援を届ける形をつくりたいと考えています。企業とは、学生が知りたい情報を一緒に発信し、入社後のミスマッチを減らす採用のあり方を探っていきたいです。

貴重なお話をありがとうございました。

株式会社Synergy Careerについて

株式会社Synergy Career

「就活の教科書」を起点に、メディア事業・求職者送客事業・人材紹介事業を展開する人材会社。就活情報の提供から、自分に合う企業を考える対話、企業紹介までをつなぎ、「人と企業が共に成長する社会」を目指しています。

設立:2020年6月

本社所在地:〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田2丁目5-13 桜橋第一ビル304号

代表者:代表取締役社長 岡本 恵典

主なサービス・取り組み

就活の教科書

学生・内定者の実体験を生かし、自己分析、ES、面接、業界研究などの就活情報を届けるWebメディア。専門家による記事監修や独自調査にも取り組み、就活生が自分で情報を選び、考えるための材料を発信しています。

本番形式で練習できる「SPI模擬テスト」など、実際に手を動かして使えるツールも提供。記事、公式LINE、キャリア面談を通じて、情報収集の先にある行動を支えています。

「就活の教科書」を見る
就職活動の総合情報サイト「就活の教科書」のサービス紹介画面

あとがき

情報を届けた後、就活生がどんな選択をするのか。その先まで支えたいという岡本様の思いが、メディアから面談・人材紹介へと事業を広げる原動力になっていました。当事者の経験を記事に生かすことも、支援先を本人の意思と同意に基づいて選ぶことも、一人ひとりが納得して進めるようにするための取り組みです。

和田様の開発事例で印象に残ったのは、AIが出したコードを自分で説明できるまで理解し、小さく動かして周囲の確認を受ける姿勢です。若手に数字と裁量を任せながら、相談とレビューで支える。AIを使う力と、人が対話し判断する力を、事業と人材の成長につなげようとする同社の取り組みが見えてきました。

写真・ロゴ提供:株式会社Synergy Career/サービス画像:株式会社Synergy Career公式サイト

この記事を書いた人

SHI-SO

SHI-SO編集部

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