高校時代の原体験から、毎日続けられる一杯をつくる
「プロテインは、トレーニングをする人だけのものなのか」。高校時代に運動とプロテイン摂取を始めた藤木幹太様は、周囲にある先入観や選びにくさに目を向け、N/S高起業部での構想・検証を経て、2025年2月に合同会社Find Proteinを設立しました。
現在は、国内製造・人工甘味料不使用のホエイプロテイン「Find Protein with GABA(カフェオレ風味)」を企画・販売。進学後はTemple UniversityでInternational Businessを学びながら、事業を続けています。高校時代の起業の経緯、製品づくりの試行錯誤、大学での学びを経営に生かす取り組み、今後の展望を伺いました。
今回ご回答いただいた方
合同会社Find Protein
藤木 幹太 様
合同会社Find Protein 代表社員。高校2年生で日本プロテイン協会の「プロテインマイスター」資格を取得。N/S高起業部での構想と市場検証を経て、高校時代の2025年2月に同社を設立。現在はTemple UniversityでInternational Businessを専攻し、学業と会社経営を並行している。
日常の栄養補給として、プロテインを届ける
はじめに、現在の製品・サービスと、届けたい利用者について教えてください。
弊社は「プロテインの形と社会観念を変える」をモットーに、国内製造と人工甘味料不使用にこだわったホエイプロテイン「Find Protein with GABA(カフェオレ風味)」の企画・D2C販売を展開しています。Web上では、ユーザーが生活習慣に合わせて製品を選ぶための補助ツールとして、プロテイン診断も提供しています。
主な対象は、特定のトレーニング習慣を持つ方だけでなく、日々の栄養補給やコンディショニングを意識するビジネスパーソンやシニア層です。国内製造品質、人工甘味料不使用の飲みやすさ、ホエイとGABAを組み合わせた栄養設計を大切にしています。
タンパク質を補いたい方や、甘さ・人工甘味料が気になる方、プロテインを運動層向けだと感じている方に、美味しく手軽に続けられる栄養補給の選択肢を届けたいと考えています。
運動習慣のない方やシニアにも届けたいと考えたのは、なぜですか。
忙しく十分な食事時間を確保できない社会人や、加齢により肉や魚を十分に摂りにくくなるシニアの方など、日常の食事でタンパク質を補うことに課題を持つ方がいると考えたからです。一方で、弊社が実施した意識調査では、プロテインを「マッチョや意識が高い人が飲むもの」と捉える方が多くいらっしゃいました。
私たちが目指しているのは、「マッチョにも、それ以外の人々にも等しく届くプロテイン」です。プロテインに対する社会観念を変えることで、一人ひとりの毎日に自然と定着する、プロテインを手段としたタンパク質補給習慣をつくりたいと考えています。
品質、飲み続けやすさ、栄養設計では、何を重視していますか。
「品質・安全性」「継続性(飲み続けやすさ)」「栄養設計」は、どれもFind Proteinの根幹をなす要素です。
あえて順序をつけるなら、毎日の食習慣として口にするものだからこそ、品質・安全性を最優先に置き、国内製造を選んでいます。そのうえで、人工甘味料不使用・カフェオレ風味による継続性と、ホエイプロテインにGABAを組み合わせた栄養設計を、同じくらい重要だと考えています。
甘さを抑えた自然な風味で、忙しい朝や仕事の合間、夜など、日々の生活の中に無理なく馴染む設計を目指しました。
高校時代の原体験と、N/S高起業部からの創業
プロテインとの出会いと、起業を決めたきっかけを教えてください。
高校時代、体型改善の一環として運動とプロテイン摂取を始めました。その中で、身体的な変化だけでなく、生活リズムが整い、主体性や自信を得たと感じたことが原体験です。ヘルスケアへの関心が深まり、高校2年生で日本プロテイン協会の「プロテインマイスター」資格を取得しました。
一方、周囲には「激しいトレーニングをする人だけのもの」「甘さや添加物が心配」といった先入観から、プロテインを栄養補給の手段として選んでいない方がいました。
N高グループ起業部への参加を通じて、この課題への意識を深めました。すべての人の日常に寄り添い、美味しく手軽にタンパク質を摂れるプロテインを生み出し、社会観念そのものを変えたいという思いから、起業を決めました。
当初の比較購買サイトの構想は、どのように自社製品の開発へ変わったのでしょうか。
構想初期は、選択肢の多さによるミスマッチを解決するため、プロテインの比較購買プラットフォームを考えていました。
市場検証を進める中で、既存品が特定の運動層を主な対象としていることや、人工甘味料を使用する処方が主流であることに着目しました。選び方の問題だけでなく、日常使いを望む方に向けた製品づくりにも課題があると考えたのです。
そこで、流通の仲介にとどまらず、人工甘味料不使用で日常使いに適した「Find Protein with GABA」を自社で開発・供給するD2Cモデルへ転換しました。Web上の診断ツールは、製品選択を補助するコンテンツとして位置づけています。
法人設立までに、どのような検証を行いましたか。
350名規模の消費者意識調査を実施し、約50名が参加するスポーツヘルスケア振興イベントも自ら主催しました。イベントでは、プロテインの試飲体験を通じて、需要や受け入れられ方を確かめました。
その中で、運動をしていない方にも、日常使いしやすいタンパク質補給の手段を求める声があると感じました。本格的な事業展開のため、2025年2月に合同会社Find Proteinを設立しました。
調査だけでなく、実際に飲んでいただく場でも確かめてきたのですね。
大学での学びと、人との出会いを経営へ
進学後の学びは、今の事業にどうつながっていますか。
現在は米国のTemple UniversityでInternational Businessを専攻しています。マーケティング理論や経営戦略、消費者行動分析の学びは、自社製品のポジショニングや、定量的なデータに基づく事業推進に活用しています。
多様なバックグラウンドを持つ学生や教授陣との議論を通じて、日本の栄養課題をより広い視点で捉え直す機会にもなっています。合理的でスピード感のある意思決定を取り入れながら、事業設計の質を高めています。
事業の方向性を変えた、周囲からの助言や出会いはありますか。
N/S高起業部での選考や指導、関わった経営者や社会人の方々の助言と経験が、事業の方向性に大きな影響を与えました。
「単にタンパク質原料を販売するのではなく、生活習慣としてどのように定着させるか」という示唆を受け、朝・昼・夜の生活リズムに寄り添う、GABA配合・人工甘味料不使用のプロテインという製品コンセプトを固めました。テンプル大学でも、市場を広い視点で捉える重要性を学んでいます。
特に、高校2年生のときにビジネスプランへフィードバックをくださった大手プロテイン会社の社長は、学生だからと手加減せず、真正面から向き合ってくださいました。消費者が本当に求めているものは何かを考えるきっかけになりました。
学業と食品事業の経営を並行する難しさと、それを補う工夫を教えてください。
食品事業者、新しいプロテインブランドとして信頼を得ること、初期製造資本を確保すること、学業と事業へ適切に時間や資源を配分することが主な課題でした。
一方で、AIの活用やデジタルへの親和性、自らプロテインに接してきた市場感覚、迅速な意思決定は強みだと考えています。
過剰な固定資産を抱えず、専門性を持つ国内製造パートナーと連携し、Amazonなどの大手ECサイトでの販売を軸とする経営体制をつくることで、限られたリソースを補っています。
毎日飲み続けられる製品をつくる
企画から製造・販売までの流れと、製造パートナーを選ぶ基準を教えてください。
市場ニーズの調査、複合素材の設計、工場の選定、官能評価による試作、パッケージデザインを経て、2026年4月にAmazonで販売を始めました。
製造パートナーには、品質管理体制を備えた国内工場を選びました。GABAなどの成分を配合しても風味を損なわない技術力も、判断基準にしています。
溶けやすさや泡の立ち方、甘味など、自分がプロテインを飲んでいるからこそ気になる点を確認し、一つの製品について複数回試作をやり直して、ようやく製造に至りました。
人工甘味料を使わずに飲みやすくするうえで、どこに苦労しましたか。
天然甘味料の配合量に加え、ホエイプロテイン特有の溶けにくさや、泡が残りやすい点が課題でした。
試作と検証を重ねる中で、カフェオレの香りと適度な苦味が、ちょうどよい味わいにつながることから、カフェオレ風味を採用しました。
運動習慣のない方も含む試飲機会で「甘すぎず、毎日飲み続けられる」という評価をいただいたことが、製品化の決め手になりました。
発売後の反応や、お客様の声を生かす取り組みを教えてください。
2026年4月にAmazonで販売を始め、弊社の集計では、発売後2か月で販売数が8.5倍に拡大しました。顧客層は20代から40代のビジネスパーソンを中心に、トレーニングも含む日常生活に合わせて取り入れていただいています。
ユーザーからのフィードバックを分析し、生活シーンに応じた飲用タイミングやアレンジレシピの情報発信、今後の商品開発に反映しています。
他の製品との違いや、今後強化したい顧客との接点は何ですか。
単なる運動用サプリメントではなく、「日常のパフォーマンスと健康を支えるヘルスケアプロダクト」として位置づけることで、運動習慣のない方を含む幅広い層から選ばれる理由をつくろうとしています。
今後はAIなどのデジタル技術を使った新たなサービスや、その時々の市場のニーズと私たちのビジョンを重ねた製品を展開していきたいと考えています。
全世代の日常へ、その先の展望
幅広い世代へ届けるために、今後取り組みたいことを教えてください。
「プロテインは運動層向け、意識の高い人が飲むもの」という固定観念や、添加物に対する不安が、普及の障壁になっていると感じています。弊社では、食品として適切に表示することを大切にしています。
スポーツヘルスケア振興イベントや体験機会の提供を通じて、日々の食生活を補完する手軽なタンパク質補給の手段として、ファインドプロテインを届けていきたいです。
今後は、シニア向けヘルスケア施設や自治体などとの連携も視野に入れています。高齢者が増えていく中で、タンパク質補給の需要に応えられるよう活動していきます。
今後3〜5年の事業と、その先に目指す未来を聞かせてください。
今後は、プロダクトマーケットフィットの確立、リピート率の強化、ラインナップの拡大を進めます。
さらに、大学での学びや、高校時代に東南アジアを中心に経験したボランティア活動を生かしていきたいです。国内ヘルスケア事業の収益基盤をもとに、新興国支援を組み込んだソーシャルビジネスへの多角化も視野に入れています。
プロテインを「ストイックな層のサプリメント」から「あらゆる人々の日常に寄り添う基礎栄養インフラ」へと、その社会的価値を広げたい。プロテインに対する社会観念そのものを変えていきたいと考えています。
貴重なお話をありがとうございました。

特定の人向けというイメージを、変えていきたいのですね。